メタバース『VRChat』における旅の心得 ―メンタルを整えるための6つの思考

~これまでのあらすじ~

“光あるところに影あり”

ドイツのシノビ、ゲーテが生前放ったとされるこのコトダマはしばしば、物事が善い面のみによって構成される訳では無い。ということの比喩として用いられる。

先般、電子の風によって流されてきた、1つの手記が里に大きな波紋を呼んだ。中には今の環境をどうにも楽しむことが出来ず、現状を嘆く心情が吐露されていた。

旅を始めて一月と少しが経ち、運良く今の里へと流れついたニンジャは、我もこれまでの旅路を振り返る手記を書かんと筆を執る。願わくばこの手記がまだ見ぬ電子世界の旅人達の一助にならんことを。という祈りを込めて。

DiscoNinja
DiscoNinja

本記事は筆者の

身の上話とVRChatを開始してから1か月半程のの活動記録

実践しているメンタルコントロールの方法

他者との交流の際に意識していること

によって構成されています。あくまで一個人の思想と体験に基づく文書のため、ゲーム内での再現性が保証されていないことご了承下さい。
旅の手引きとしてはご要望に沿えるものでは無いやもしれませんが、読み物としてお楽しみいただけると幸いです。

しのびがたり

ネットゲームと過去の傷

VRChatも該当する、いわゆるメタバースと呼ばれるゲームに関しては『面白いこと以外何でも出来る』と言われたmeet-meという作品を2016年頃から2018年のサービス終了まで遊んでおりました。

2017年にVRChatがリリースされ、時たま友人間との話題に上がっていたりネットの記事が流れて来たりということはありましたが、どうにも食指が伸びず。

思い返すと、当時は環境が大きく変わり、人と電話の着信音に怯える綱渡りのような精神状態が続いていたため、新しい物事を楽しむ余裕がありませんでした。1年間休学後に復学・就職し、何故か採用された会社への出勤をリハビリのようなものと捉えていたように思えます。

meet-meがサービス終了した後は難民として移住先を探す中で、友人からLOLを始めたと聞き、後を追う形で何年か遊んでおりました。

5人同士で戦うチームゲームではありますが、育てば一人で試合を終わらせられるといったコンセプトのキャラクターのみ使い、一人でランクマッチを回し続けるという遊び方を続ける。これは今も私が持つ悪癖ではありますが、人を頼ることへの強い抵抗感が今以上にあったように思えます。

何度か新しい関係性を構築しようとは思い、幾つかのグループに所属をした時期もありましたが、運に恵まれずか私自身に起因する原因があったのか。今となっては分かりませんが、結末のみに目を向けると望む結果を得ることは出来ませんでした。

自分の技量が上がることを一番楽しんでいたため、完全に上手さが頭打ちになったと感じた所から徐々に離れていき、リアルの方に注力していくようになっていったというのが数年前のこと。

VR機器との邂逅

VRに関心を持ち始めたのは去年の11月のことで、何か月かおきにリアルで遊ぶ友人からQuest2とBeatSaberを買ったと話を聞いたので、自宅で体験させてもらうことになりました。動画では何度かビートセイバーのプレイ動画を見たことはあったのですが、やはり体験に勝る経験なし。

青と赤の3dメガネしかこれまで装着したことが無かったニンジャにとって、この没入体験はヘッドセットを購入する大きなきっかけ足り得ました。12月末に注文したヘッドセットが届き、最初に購入したのがEleven table tennisというリアルな卓球のゲーム。海外プレイヤーと対戦する際はラグに悩まされますが、実際に台が手元にあるかのような没入感に夢中になりました。

しかしながら数日後、際どい球を返すために手を伸ばした所親指を壁に強くぶつけてしまい、体験の代償を支払うことに。一旦卓球はやめにして、ちょっと落ち着いたゲームも触ってみようかとVRChatをインストールするのでした。みんなもプレイスペースには気を付けよう!

VRChat開始から現在に至るまでの体験

新しいことを始めるにあたって、事前の情報収集は基本のキ!ということで、SNSや個人ブログ等で色々と調べていく中で[JP]Tutorial worldという所に初心者案内をされている方がよく居るという情報と、併せてアバターミュージアムという場所で展示されているアバターの試着が出来るという情報を入手。

早速ミュージアム内を一人で見て回り、そこで目に留まった『フェリス』と名付けられたアバターを試着。意を決してJPTへと足を運ぶのでした。その後の動きは下記の通り。画像が多くなるため、見られる場合はアコーディオンを開いて下さい。

1/3   アバターミュージアム9へ向かった後JPTへ。運よく初心者案内をされている方にお声掛け頂き、基本的な操作方法や自衛手段についてご教授いただく。振り返ってみると、やはりここでお声掛けいただいたのが大きいですね。

1/4~14 主にポピー横丁へ足を運び、海外の方や酔いつぶれた日本人ユーザー達と交流。VR内でカメラを使った撮影が出来る商品があるという記事を目にして初のUnity操作。アバターのアップロードを行うためにはユーザーランクを最初のVisitorからNewUserへと上げた上で、購入した商品をUnityに読み込ませる必要があります。

買えばすぐ使える!という分けではなく、目的のために少しの努力が必要だよ!というゲームスタンスに新鮮さを覚えました。

1/15~31 ワールドの撮影をしたりポピ横へ行ったり。企業によるVRフォトコンの存在を知って、撮ってきた写真を応募するなどしてました(残念ながら結果は落選~)。元々VRCを始める前からゲーム内写真を多く撮りたいと考えてはいましたが、人に依存しない楽しみ方として、ワールドの撮影という手段が有効だと確認が出来た期間でした。

2/3 そろそろ企画されたイベントに参加をしてみたいと思い立ち、ゲーム内遊園地を回る内容のイベントへ参加。参加にあたっては主催者様へのフレンド申請が必要と知り、VRChatにおけるフレンド申請が持つ意味合いのニュアンスは少し他のゲームとは異なるんだなぁという感想を持ちました。言うなれば名刺交換みたいな感じでしょうか。

2/4 Twitter(現X)で1月にゲームを開始したプレイヤーを集めた同期会を開催するという告知を発見。前述のmeet-meでも、同月に始められた方同士は比較的交流を深められていた様子を過去に見ていたため、これは良い機会だと参加。このイベント以降、画像フォルダを見ると明らかに人の映っている写真が増えていました。ここに参加したことも大きな転機として捉えています。

2/5~ これまでアバター本体に小物を付ける作業しかしていなかったので、意を決してアバター改変に挑戦。かわいいねカッコいいね。

2/6  初心者向けダンスイベントへ参加。元々ダンスもVRで楽しみたいと考えていたので、このタイミングで意を決して全身の動きをキャプチャするトラッカーを購入。お値段91000円(定価)、ヘッドセットより高いというのはどういう了見ですか。

2/7  ゲーム内で撮影した風景写真の著作権は撮影者にあるか、それともワールド作者にあるかという疑問を解消するため、VR内で弁護士の先生にご相談をかける。先生の見解としては撮影されたゲーム内スクリーンショットに関してもワールド作者が著作権を持つということでご回答頂いた。

2/12  前述とは別のVRダンスイベントへ参加。元インストラクターの方(現教師)のダンスレッスンを受けた。え、これ無料でいいんですか?場所や容姿へのコンプレックスなど、現実で参加するにあたっての大きな障壁が取り除かれた取り組みに大きな可能性を感じました。

2/11 2回目のミニ同期会。前回お会いした方との再会を楽しむ。脳内の村人が『フレンドは Joinしなくちゃ 意味がないぞ!』と語りかけてくるため、この辺りからフレンドへJoinする回数が増えてきたかな?過去に抱いていた人への大きな恐怖は少しずつ薄まってきているみたい。

2/13、15 blenderを使用したモデリングを行う集会にフレンドが参加するということでイベントに参加。未経験のモデリング、UV展開からの着色を動画を見つつ勉強。学びがあるね。

2/17  カフェイベントへ参加。この記事をVR内で書こうと思い、ヘッドセットを被って作業にあたっていましたが思った以上に中のニンジャへの負荷が大きく断念。

2月のスクリーンショットを見ていると、やはり同期会への参加が大きかったですね。目に見えて誰かと居る写真が増えてるのは良いことだと思います。フレンドと遊んでいる所に、どちらかのフレンドが遊びに来る時に『縁の円』の広がりを感じられて何だか嬉しくなります。

否定をされない土壌に身を置くこと、ポジティブ思考の重要性

10年以上前にお見掛けした陰陽師の方がこのようなことを仰っておりました。

「辛い時 悲しい時 人はそんな時 心の隙間に闇が出来る
その心の闇に 魔物達は容赦無く 入り込んでくるのだ
だから 苦しくても 挫けるな 落ち込むな くよくよするな
何事にも 屈しない 強靭な心こそが 最強の武器なのだから!」

矢部野彦麿&琴姫With坊主ダンサーズ『レッツゴー!陰陽師』より引用

あらゆる困難が科学で解決するこの令和の時代。何をするにしても便利な世の中にはなりましたが、あくまで人は人のまま。

ニンジャの実父は最近、両足の股関節にボルトを埋め込んだりと着々とサイボーグニンジャ化計画が進んでおりますが、それでも人のメンタル的な部分は未だ解明されない部分は多く、機械によるサポートだけでは不十分な側面があります。 

決して屈しない女騎士のような心を持つためには何が必要になってくるのでしょう。以下にニンジャの脳内を言語化した文字列を記載しておきますので、ご興味のある方はご一読下さい。

以下の文章に関しては専門家の監修を受けているものではなく、冒頭に記載した通り一個人の経験に基づく手記となります。本記事の内容とその実践によって閲覧者及び第三者に生じた損害においては、当方は一切の責任を負わないものとします。

睡眠は一番の特効薬

何か自分にとって嫌なことが起こった時は可能な限り早く寝るに限ります。LOLのランクで連敗した?取引先や上司からお叱りを受けた?大元になる原因が残っており、持続的にメンタルへダメージを与えてくる内容でなければ、大体寝れば少なからず状況は好転します。

例えば期日までに終わらせないといけない業務があってそれが心配で仕方ない。という場合は原因を排除するまで完全な精神の安寧は得られませんが、それでも一時的に睡眠を取ることで排除に取り掛かる気力は経験上多少回復はしておりました。

そもそも寝れない場合は私自身あまり有効な手段を知りませんが、落ち着いた声の朗読とか聞いてたらいつの間にか寝てたことはあるので、寝落ち朗読会とかVRChat内でやってみるのも良いのかも。カバヤキな夢、見せてやるよ。(ニジャボ)

自身の欲と『足るを知る』を識るということ

欲にも良い欲と悪い欲があると考えていて、例えば良い欲というのが物事へのモチベーション等に昇華出来る思い、悪い欲というのが他者とのトラブルに繋がる行動を起こす思いです。

VRChatを初めて

「このアバターにこれを付けたい!」

「どういった方法でこのアイテムが作られているのか知りたい!」

「もっと良い写真が撮れるようになりたい!」

といった強い欲を原動力に動く機会が多く、それは方法を調べるためのモチベーションとして非常に有効に機能してくれました。

この思いは私の中では広義の欲に分類されてはいるのですが、前述の悪い欲と異なる点は、やはり他者に迷惑を掛けているかいないかという部分になります。

悪い欲の例で言うと、

・アバター製作者が利用規約内でゴア表現を含む改変を禁止していたが、それを無視して自分の好きなゴア表現を入れた

・キャストとして雇われる形でイベントに協力していたが、ワールド作者の意向を汲まないコンセプトを無断で追加した

どちらも実際に耳にしたお話です。それぞれ『自分がこれをしたい!こうありたい!』という強い思いの下で動いた結果ではあるかと思われますが、果たしてそれは権利者や雇い主を押しのけてまで実現すべき内容かと言いますと、間違いなくNOと断言できます。

Boothとか見てついアイテム買っちゃう、といった物欲は上記とはまた別物ですが、今の時点で既に満たされていると思えるようになりたいですね(n敗)

依存という甘い蜜と見えぬ棘

他者への精神的な依存、OFUTONの中に居るかの如く気持ち良いですよね。分かります。

それ自体は個人としては肯定も否定もする立場には無いのですが、ここで言いたいのは『リスクを分散するべき』ということ。

私個人の今現在のVRChatにおける精神的な依存先を列挙しますと下記の通りになります。

・ワールドの写真撮影

・SNSを含むフレンドとの交流、写真撮影

・VRダンス

・1月同期会

・ブログ記事の作成

・気になったイベントへの参加

それぞれの優先度は当然ながら異なってはきますが、例えば上記のうち何か1つだけが出来なくなった場合、全体の割合としてはそこまで大きく削れないのでメンタルへのダメージも軽減されます。では依存先がお砂糖(VRChatにおけるゲーム内での恋人関係の総称)相手のみの方はどうでしょうか?

お砂糖相手が他のフレンドと遊んでいる、お砂糖相手が忙しくてログインできない、お砂糖相手に距離を置かれ始めた。

依存先が1つに限定されているので、何かあった時のメンタルへのダメージが大きく病んでしまいやすいんですね。リスク分散はメンタルのリスクヘッジにおいて重要なポイントです。

理想とのギャップが心を蝕む時は

大谷翔平選手とか藤井壮太八冠といった前人未踏の領域を踏む方々は別として、大小はあれど誰しも自分自身の理想と現実との落差にコンプレックスって持ってるとは思うんです。

私自身、『クリエイターではないこと』へのコンプレックスを強く持っておりますが、理想を体現出来ていない現状を認めることが一歩目を踏み出すために必要な考えなのかなと。

noteを見ている時に、たまたまVRChat内でシンガーソングライターとして活動されている著名な方の記事を拝見したのですが、その方も文中で自身の理想と現実のギャップに悩み続けていらっしゃるようでした。また刺さる内容を書かれていたので私自身メンタルが・・・。イヤ、これではいけない。座りなおそう。

ただこの世界の良い部分として、他者の頑張りを否定しない土壌が出来ているので、1歩を踏み出すための勇気を出しやすい点が挙げられます。これまで一切経験したこともないダンス教室イベントに単身乗り込む、なんてことは現実では考えられなかったことですから。

自責思考と他責思考

望まぬ結果の原因を他者に押し付けることは簡単なことではありますが、相手を変えることに力を込め続けるよりは自分を変えることに注力した方が長期的に見れば低コストですし、今後同様のことが起こった時の解決率が高まります。

これは闇のゲームことLOLをやってる時に身に着けた考えですが、先のことまで考えた上でどこにコストを割くのが有効かを考えると、やっぱ自分に一番力を入れてあげたいよなぁと。前段落と同様、理想を体現出来ていない自分を認める作業にはなるので、多少メンタルにダメージは入りますが今後も意識していきたい部分です。

帰属意識から生じる仲間意識とゆるやかな排他性

気心の知れたフレンドとの交流、OFUTONの中に居るかの如く嬉しい気持ちになりますよね。ニンジャもそう思いますよ。

私自身が恐れているのは、今の心地よさにかまけて新しい出会いの機会を蔑ろにしてしまわないかという点。グループが出来ている所に新しく入っていくことって精神的なハードルがかなり高いと感じているので、仮に自分が2人以上のグループに身を置いていた時に、新たな方が来られた際に意識している点としては以下の2点です。

・目があったら笑顔で手を振る身振りを取る

・今こんな感じの話をしていたという要約を簡単に伝える

上記の実践、ニンジャなら無料。

まとめ

最初に辛い自分に手を差し伸べるのは誰でもない自分自身。あくまで交友関係に限って言えば、その場その場での運も絡んではきますが、自分の意識を変えれば環境はパーソナルミラーのように変わるものだとこの1か月半を通して実感しております。

長くなりましたが、ここまでお読み頂きありがとうございました。

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