~これまでのあらすじ~
VRChatを始めて1~2週間ほどが経過し、これまで体験したことのないバーチャルの世界を歩いて回る新鮮さにも少し慣れてきた頃合い。ここでしか出来ない新たなことを始めたいと思い立ち、一人の忍びが手を染めたのはVR空間での写真撮影だった。
新たな絵画世界が、視界の隅々まで広がりを見せる。それは「バーチャルフォトグラフィ」—仮想現実空間内で、光と影、色彩とコントラストを駆使し、息をのむような風景を切り取る忍術。
リアルな世界のみならず、広大なバーチャル空間もまた、感動を呼び覚ます場所として確かに存在している。ゲーム内の壮大な景色、創り出された都市、神秘的な森…。これらの空間がカメラレンズを通して、まるでそれが実在するかのようなリアリズムと美を被写体とすることは、新時代の忍びたちが渇望していた次の開拓地やもしれぬ。
この記事では、バーチャルフォトグラフィとは何か、またどのような魅力があるのかを探り、その表現の可能性を筆者の体験を基にご紹介します。
仮想空間でカメラを手にした冒険を始める、その一歩を踏み出すためのガイドを、皆様へ。
仮想世界の風景を切り取る!バーチャルフォトグラフィのススメ
仮想世界で撮影された圧倒的な写真たちは、現実世界とは異なる美しさを私たちに伝えてくれます。
この文章をきっかけに、デジタルの可能性を最大限に活かした新しい表現形式に触れてみませんか?
バーチャルフォトグラフィは、ビデオゲームや3Dソフトウェアなど、デジタルに生成された世界での写真撮影を指します。
カメラを使って現実世界の景色を撮影する伝統的な写真とは異なり、仮想世界では無限の創造性とコントロールの自由度を享受できます。プレイヤーやクリエイターは、物理法則に縛られず、想像力をフルに活かして独自の視点で世界を再現し、固有の風景を生み出すことが可能です。
ユーザーによって作成された撮影システムを導入することで、デフォルトで使用可能なカメラに機能が追加され、高度な表現を可能としています。
従来の写真撮影が現実世界の美を捉えるのに対し、バーチャルフォトグラフィは仮想世界特有の美しさ、例えば現実では不可能な色彩、形、光の演出を探求します。
世界には上記のような異星で打ち上げられる花火の景色や、空を飛ぶ魚、耐震基準をこれでもかというほど無視した建築物など、現実には存在しない光景を撮ることができるのです。
これらの独創的なビジュアルは、観る者の想像力を刺激し、新たな感情を呼び覚ますことでしょう。バーチャル空間が提供する独自の美は、写真というメディアを通じて見る者に深い驚きと感動を与える可能性を秘めています。
バーチャルフォトグラフィはリアルな写真表現では実現が難しいシーンの演出を可能にします。上記の写真はゲーム内でドローンを飛ばして、ワールド内の月を間近で撮影した(!?)もの。
現実世界での光の反射や透過、物体の質感と重力の影響などの物理法則を意図的に再現したり、反したりすることで、想像力に満ちた作品を創り出すことができます。
このような写真は視覚的な驚きや興奮を提供し、多様な感情を動員する力を持っています。観る者はただ美しいだけでなく、驚異的あるいは哲学的な思索を誘発されることもあり、写真に対する認識が広がります。
画像技術の発展はバーチャルフォトグラフィの進化に大きく貢献しています。
CG(コンピュータグラフィックス)のリアリズムが向上するにつれ、写真としてのクオリティも向上し、よりリアルで細部まで精密なイメージの捉えが可能になっています。
高解像度で緻密なテクスチャ、進歩したレンダリング技術、ダイナミックレンジが広い画像処理などが、作品に深みとリアリティをもたらします。これらは仮想の画像をより鮮明にし、見る者に強い印象を残す効果を高めています。
VRChat内でスクリーンショットを撮影する際には、最大8Kの解像度で画像を保存出来るようになっており、PS2が発売された当時にもう現実がゲーム内で再現されていると驚いていた筆者としては、時代の進歩に衝撃を受け続けている現状です。
撮影者としてのバーチャルフォトグラフィの楽しみ方
上記の写真は筆者が本格的にVRChatを始めようと思い立った2024年1月3日の写真。
と呼ばれる日本人向けのチュートリアルワールドがあり、さまよい歩いている所を親切な案内人に手助けして頂きました。プレイ時間やフレンド数等の指標から算出されるユーザーランクが存在しており、始めたばかりのVisitorやNew Userは何かと世話を焼いて貰えるようです。
初心者案内が1つの文化として根付いている様は、かつて存在していた国産メタバース「meet-me」のユーザーたちを彷彿させます。
バーチャルフォトグラフィの撮影を活動のメインに置く「バーチャルフォトグラファー」については、前述のような風景の撮影を行う方が多い印象ですが、それらの風景と組み合わせたアバターの撮影もまた一つの表現として受け入れられる界隈の懐の深さも魅力の一つと言えるでしょう。
また界隈の特徴として、ゲーム内で恋人関係を結ぶ「お砂糖」と呼ばれる文化が存在しており、この文化とフォトウェディング(挙式や披露宴を行わず、写真撮影のみ行う結婚式のスタイル)とは相性が良いのでは無いかと感じています。
ウェディング用のワールド作成、小物作成、ウェディングドレスの作成といったハードルを越えることが出来れば、結婚式の開催を銘打ちイベントとして告知。カメラマンを複数名呼んでフォトウェディングコンテストを主催する・・・といった自由なアイデアも出てきますね。
既に県外への旅行については制限が解除されており、筆者個人も現実での旅行を先日楽しんできたばかりではありますが、仮想空間の旅行も現実とは違った良さが存在します。これまでお見せした幻想的な世界のほか、現実世界を再現したワールドも存在しており、機材さえあれば旅費要らずで現地の文化を知る体験が可能です。
個人的にはテクスチャで再現された食事をその場で体験出来ないことが現実世界を再現したワールドの一番のデメリット。
ゲーム内で食品サンプルを見て、購買意欲が刺激されたらポスターのURLから通販サイトを開けば注文が出来ますよ、という取り組みは過去にも多くの自治体や各企業が実施していた事例はあります。
ただネット漬けの自分ですらゲーム内→URLコピー→ブラウザ立ち上げ→通販サイトへの遷移を面倒に感じてしまうので、実際の所商品の販売にどれくらいの訴求力があるのか気になるところ。
上記のような考えもあり、現状は異世界旅行として現実では体験できないワールドを旅することにより魅力を感じています。ややネガティブな意見となってはしまいましたが、現地のことを知るという側面において現実再現系のワールドは大きな魅力を持っています。友人と各ブースを回って写真を撮り、ここ行ってみたいね、なんて他愛無い話をするのも良いかもしれません。
現実で開催されているフォトコンテストと同様に、仮想世界内でもテーマを決めた上で開催されるフォトコンテストが存在します。
ユーザーがイベントとして主催する場合もあれば、企業が製品の販促を目的としてコンテストを開催する場合もあり、作品に求められる応募要件を満たしていれば基本的に誰でも参加出来るものとなっているため、コンテストを機に他の撮影者と交流を深めたり、技術を教わる機会が得られることでしょう。
まとめ
以上が1か月に満たない短い期間ではありますが、筆者がVRChat内で感じたバーチャルフォトグラフィの魅力になります
現実のような非現実を旅の思い出として手元に残せることが個人的に一番楽しく感じるポイントですね。まだまだ発展途上ではありますが、今後が楽しみな分野です。